Poulenc×Lorca プーランクがみたガルシアロルカの想いとギター -芸術家の足あとを辿って-
去年の夏に少し時間ができて、ふと思い立ってスペインのアンダルシア地方への1人で旅をすることに。
弾丸旅行で細かいスケジュールや目的地は直前に、という無計画モードだったのですが、
グラナダ に到着し地図を眺めていると、
ん?ロルカって....... あの……!
そう、だいすきでよく勉強したあのプーランク(Francis Poulenc)のヴァイオリンソナタは
« ガルシアロルカの思い出に» との言葉が添えられていて、スペインの詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカ(Federico García Lorca)の死を偲んで書かれました。
アンダルシアはロルカが生まれ育ち、過ごした地だったのです。
グラナダはアルハンブラ宮殿やタパスのことばかり頭にあり、
そんな芸術スポットがあることなんてすっかり忘れていて、
ましてやあのプーランクのソナタとロルカに深いかかわりがあるところだったなんて....
嬉しいサプライズにテンションが上がりました。
早速ガルシア・ロルカ文化センターでの展示に。
なんとお客さんはその時間私しかいなく、学芸員さんが丁寧にロルカの生涯やグラナダ 市内にあるロルカに因んだスポットなどについてお話してくれて、
思いがけない交流と情報が🌟
そのあとは少し離れたところにある、ロルカ記念公園へ足を運びました。
この敷地内にロルカの過ごした家があり、記念館になっています。
ここではガイドツアーに参加し、
各部屋を案内していただきました。
私以外お客さんがスペイン人しかいなかったため、スペイン語のみでの説明で内容がイマイチわからなかったのは残念でしたが....笑
彼の過ごした地で思い出の品に囲まれて
その人生と詩に想いを馳せ
何か特別なものを感じることができました。
彼の詩には度々ギターという言葉やピアニッシモなどの音楽用語が登場したり、
また詩集 ジプシーの歌やカンテ・ホンドの詩 のように、
作品にアンダルシア地方の民謡やジプシーの音楽の要素を多く用いられていて、
彼の詩、そして人生には音楽との深いつながりがあるようです。
幼少期から音楽に慣れ親しみ情熱を捧げてきたロルカにとって
アンダルシア特有の楽器ギターやそこに伝わる歌たちは、
この地の人々をあらわす比喩とも取れるこれらの要素。
ギターは夢を泣かせる
というロルカの六本の弦という詩の一文が引用されています。
六本の弦
ギターは夢を泣かせる。
魂たちのすすり泣きが
その丸い口から
こぼれる。
そして毒蜘蛛のように
ギターは大きな星を紡ぐ
その黒色の木製雨水だめに浮かぶ
ため息を捕えるために。
六本の弦とはギターのことであり、
ギターのサウンドホールからこぼれる音を人々の声に喩え、
毒蜘蛛はギターを奏でる手の形を意味しています。
このプーランクのソナタには、ギターの開放弦のハーモニーやギターを連想させるヴァイオリンのピッチカートのアルペジオ奏法が度々登場します。
(E-A-D-G-B-E ギターの開放弦と同じ響きのピアノによるこの和音のあとにヴァイオリンのフレーズが始まる)
スペイン内戦の最中、フランコ政権の歴史の犠牲となりました。
彼の反ファシズム思想や同性愛者だったことがこの悲劇の引き金となってしまったようです。
独特の比喩を用い、
本来のこの曲のもつ儚さと美しさに加えて意味合いの深みを増した詩と曲の世界によって、
なんとも表現出来ない心の訴えとファンタジーを感じ、
ガルシア・ロルカの家にて
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