シャコンヌによせて 〜総集編〜
最終回記事、『バッハとイザイ』をもって無事完結しました。
それから約260年の間、ずっとバッハが今のように最も有名な作曲家として世間に親しまれていたわけではありません。
どのようにバッハの無伴奏作品が受け継がれ、演奏されてきたのか。時代ごとにシャコンヌが辿ってきた歴史を見ていきます。
そして時代背景と共に、楽譜の出版事情や研究の進歩により、どのようにバッハ演奏の解釈が変わってきたのかを探っていきます。
Vol.1で触れた解釈の変容を踏まえ、
今録音が残っている約100年前に活躍した演奏家の演奏と現代の演奏家の演奏を比較して
その解釈の移り変わりや、それぞれの演奏家のバッハ演奏への向き合い方について考えました。
それぞれカラーの違うヴァイオリニストが、どのようにバッハにアプローチしているのかを探っていこうと思い、
ショルジュ・エネスコ、ヨゼフ・シゲティ、ヘンリク・シェリング、アイザック・スターン、ギドン・クレーメル、イザベル・ファウストを取り上げています。
ルター派の熱心な信者であったバッハの音楽には
宗教思想が深く反映されていて、神の言葉が暗号のように音に込められています。
バッハが、具体的にどのように聖書の言葉を音にしたのか、その創作過程や
シャコンヌの中に隠されたメッセージを探っていきます。
構成のヴァイオリニストたちに大きな影響を与えたバッハとその無伴奏作品ですが、
その中でもイザイに焦点を当てて、演奏家としてのイザイ、作曲家としてのイザイがそれぞれどのようにバッハに関わっていたのかを見ていきます。
バッハの無伴奏作品に触発されて、イザイは自身の集大成である6つ無伴奏ソナタを作曲しました。そこに反映された様々な形のバッハの顔と、同様に取り入れられた当時のフランスの音楽事情、芸術界の流れ、そして彼の交流関係.....
バッハの時代からイザイがこの作品を書いた1924年まで、約200年間のヴァイオリン演奏の進化と、横のつながりを音に融合させた、この作品の魅力を掘り下げてみました。
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