2023.02.17 11:50サン=サーンスと日本の感性なぜフランスに来たの?と聞かれることがよくあります。ひとことで言うならば、音楽を通じて出会ったフランスの感性や美学に魅了されたからでしょう。そんな今、こちらで音楽をする日々の中でいつも感じるのは、不思議と日本とフランスの芸術美学に通じ合う何か。日本人として無意識に内面に培われてき...
2022.12.08 13:40リサイタルに向けてのメッセージ冷たい空気の中、紅葉した葉が散っていく空虚感が、どこか美しく感じる季節となりました。早いものでもう12月となり、東京のリサイタルまで二週間となりました。とても有難いことに、既に9割以上お席が埋まり残席僅かとなっております。今回演奏するのはフォーレ、シュトラウスのヴァイオリンとピア...
2022.01.17 11:22言葉と音楽 プルーストが見る言語の限界とそれを超えた魂の交流プルーストって、その« 失われたときを求めて»が世界最長小説としてギネス認定されているほど、文字をひたすら書きに書きまくった人。この小説だけでも、文字数は960万以上にも及ぶ、多分、世界で、いや歴史上、生涯で公式に書いた言葉や文字の数は1番多いのではないでしょうか。そんな文字の凄...
2022.01.10 10:11失われた祖国との調和 ープルーストの言葉とありのままの自分ーお正月の日本滞在、楽しかった時間といえば、子供の頃のビデオを端から漁りに漁り、笑いにふけながらほっこり家族と一緒に見た時間。リビングの画面の中には、純粋で何も考えずにたくましく生きる小さな私がいました。お母さんと歌を歌う様子、庭で遊ぶ様子、妹の世話しようとする姿、覚えたバレエの振...
2021.12.23 15:10Proustとわたし 音楽が好き!1つの音に広がる想い。プルーストの失われた時を求めての中の音楽に出会ってからというもの、私の音楽との関わり方やマインドに何か、より一層確かなものが生まれてきたような気がします。これでいいんだよ、自分の感覚を信じて。と声をかけてもらったような。そもそもなぜプルーストの書く音楽にこれほどまでに心が魅せられ...
2021.08.03 20:22目に見える色。見えないものが創る色。『ものに色があるのは、私たちに目があるからだが、もしも私たちに数百の感覚があったら、物は色の他のどんなに多くの形容詞に値しただろうか。』プルーストの失われた時を求めて”逃げ去る女”に出てきて、なんとなく、とても気になった一文。そしてふと、色について、感覚について考えてみようと思い...
2021.07.07 19:30日本のこころ 〜自然と繋がる、日本人の感性〜«フランスの芸術は、日本芸術の中の美しい自然の模倣に影響を受けて発展した»この事実に向き合ったとき、ふと思ったのは、そもそも私たち日本人にとって自然ってどんな存在なんだろうということ。そんなことを考える中で行き着いたのは、日本人が本来持つ"心と自然"のつながりの美しさ。私たち日本...
2021.06.16 00:36フランス、日本。二つの国の芸術交流、そして自然との調和ジャポニズムの流行によって、日本の芸術がパリで大人気となった19世紀後半。その影響は、パリの芸術家や作曲家にも大きく及び、日本の芸術から受けたインスピレーションによって生まれた作品やスタイルは数えきれません。このジャポニスムがあったからこそ、今世界を麗しているフランス芸術は発展を...
2021.05.28 13:22フランス、パリ、わたし。私の中に隠れた”何か”とプルーストとの出会いフランス、パリ。なぜかずっとこの遠い地とその芸術に心が惹かれていました。何か特にきっかけとなる映画や出来事があったわけでもなく—フランス風の雑貨やファッション、カフェやレストラン、装飾に歴史や芸術。日本にもあふれているフランスの文化に触れると、なんとなく、とっても心が喜ぶような感...
2021.03.06 09:50シャコンヌによせて 〜総集編〜6月より、4回にわたってお送りしました『シャコンヌによせて』シリーズ。最終回記事、『バッハとイザイ』をもって無事完結しました。バッハは、現代最も演奏解釈が論議される作曲家です。偉大すぎて漠然としていたバッハという作曲家の世界。広い観点からアプローチして、解釈の論議に惑わされないよ...
2021.03.03 10:11シャコンヌによせてvol.4 ~バッハとイザイ 二人の巨匠、時代を超えた融合とヴァイオリンの歴史書〜4つのテーマにわけてお送りしてきた“シャコンヌによせて“。今回の記事でいよいよ最終回となりました。シャコンヌにちなんだテーマに沿って、第一回 バッハの辿った歴史 第二回 シャコンヌ 演奏解釈、聴き比べ (part1,2)第三回 バッハの宇宙と神のメッセージと綴ってきたこ...
2021.03.03 01:22フランス芸術と歴史の融合 無伴奏ソナタ5番にみるイザイの生きた時代私の大好きなヴァイオリニスト&作曲家、Eugène Ysaÿe ウジューヌ・イザイ。パリ音楽院のマスター入試や卒業試験など、ここぞという大事な試験やコンサートで、彼の作品を演奏してきました。イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ5番を軸に、彼の音楽家としての在り方、そして彼...