2024.10.17 14:28サン=サーンスと日本の詩情、万葉集。ジャポニスムが一世を風靡していた19世紀後半フランス芸術界で、一足早く日本の芸術に興味を持ち、日本にまつわる作品や執筆をいくつも残していた作曲家サン=サーンス。彼の感性と日本文化の共通点をテーマにしながら、サン=サーンスと万葉集という、一見なんの関わりもなさそうなこの二つが出会っていたことをチラッと前回の記事で書きました。今回は、サン=サ...
2023.02.17 11:50サン=サーンスと日本の感性なぜフランスに来たの?と聞かれることがよくあります。ひとことで言うならば、音楽を通じて出会ったフランスの感性や美学に魅了されたからでしょう。そんな今、こちらで音楽をする日々の中でいつも感じるのは、不思議と日本とフランスの芸術美学に通じ合う何か。日本人として無意識に内面に培われてきたものが、フランスの芸術環境に共鳴する感覚を憶えます。日本人...
2022.12.08 13:40リサイタルに向けてのメッセージ冷たい空気の中、紅葉した葉が散っていく空虚感が、どこか美しく感じる季節となりました。早いものでもう12月となり、東京のリサイタルまで二週間となりました。とても有難いことに、既に9割以上お席が埋まり残席僅かとなっております。今回演奏するのはフォーレ、シュトラウスのヴァイオリンとピアノのためのソナタ。そして技巧曲、サン=サーンスの序奏とロンド...
2022.01.17 11:22言葉と音楽 プルーストが見る言語の限界とそれを超えた魂の交流プルーストって、その« 失われたときを求めて»が世界最長小説としてギネス認定されているほど、文字をひたすら書きに書きまくった人。この小説だけでも、文字数は960万以上にも及ぶ、多分、世界で、いや歴史上、生涯で公式に書いた言葉や文字の数は1番多いのではないでしょうか。そんな文字の凄みを知り尽くす、まるで魔術師のように言葉を操る彼から見た、そ...
2022.01.10 10:11失われた祖国との調和 ープルーストの言葉とありのままの自分ーお正月の日本滞在、楽しかった時間といえば、子供の頃のビデオを端から漁りに漁り、笑いにふけながらほっこり家族と一緒に見た時間。リビングの画面の中には、純粋で何も考えずにたくましく生きる小さな私がいました。お母さんと歌を歌う様子、庭で遊ぶ様子、妹の世話しようとする姿、覚えたバレエの振り付けを舞台で踊る姿、そして近所の先生のヴァイオリンの発表会...
2021.12.23 15:10Proustとわたし 音楽が好き!1つの音に広がる想い。プルーストの失われた時を求めての中の音楽に出会ってからというもの、私の音楽との関わり方やマインドに何か、より一層確かなものが生まれてきたような気がします。これでいいんだよ、自分の感覚を信じて。と声をかけてもらったような。そもそもなぜプルーストの書く音楽にこれほどまでに心が魅せられたのかなと見つめ直してみました。あの文章をみたときに芽生えた...
2021.08.03 20:22目に見える色。見えないものが創る色。『ものに色があるのは、私たちに目があるからだが、もしも私たちに数百の感覚があったら、物は色の他のどんなに多くの形容詞に値しただろうか。』プルーストの失われた時を求めて”逃げ去る女”に出てきて、なんとなく、とても気になった一文。そしてふと、色について、感覚について考えてみようと思いました。色というのは、私が音楽をする上で、音の表現する上で当...
2021.07.07 19:30日本のこころ 〜自然と繋がる、日本人の感性〜«フランスの芸術は、日本芸術の中の美しい自然の模倣に影響を受けて発展した»この事実に向き合ったとき、ふと思ったのは、そもそも私たち日本人にとって自然ってどんな存在なんだろうということ。そんなことを考える中で行き着いたのは、日本人が本来持つ"心と自然"のつながりの美しさ。私たち日本人の自然観には、そもそも古来より受け継がれてきたマインド、が...
2021.06.16 00:36フランス、日本。二つの国の芸術交流、そして自然との調和ジャポニズムの流行によって、日本の芸術がパリで大人気となった19世紀後半。その影響は、パリの芸術家や作曲家にも大きく及び、日本の芸術から受けたインスピレーションによって生まれた作品やスタイルは数えきれません。このジャポニスムがあったからこそ、今世界を麗しているフランス芸術は発展を遂げました。日本人にとって、フランスの印象派絵画はどこか親し...
2021.05.28 13:22フランス、パリ、わたし。私の中に隠れた”何か”とプルーストとの出会いフランス、パリ。なぜかずっとこの遠い地とその芸術に心が惹かれていました。何か特にきっかけとなる映画や出来事があったわけでもなく—フランス風の雑貨やファッション、カフェやレストラン、装飾に歴史や芸術。日本にもあふれているフランスの文化に触れると、なんとなく、とっても心が喜ぶような感覚を覚えました。それは、フランス音楽を演奏するときも同じ。1...
2021.03.06 09:50シャコンヌによせて 〜総集編〜6月より、4回にわたってお送りしました『シャコンヌによせて』シリーズ。最終回記事、『バッハとイザイ』をもって無事完結しました。バッハは、現代最も演奏解釈が論議される作曲家です。偉大すぎて漠然としていたバッハという作曲家の世界。広い観点からアプローチして、解釈の論議に惑わされないような自分のバッハ演奏を深めたい。という思いで書き始めました。...
2021.03.03 10:11シャコンヌによせてvol.4 ~バッハとイザイ 二人の巨匠、時代を超えた融合とヴァイオリンの歴史書〜4つのテーマにわけてお送りしてきた“シャコンヌによせて“。今回の記事でいよいよ最終回となりました。シャコンヌにちなんだテーマに沿って、第一回 バッハの辿った歴史 第二回 シャコンヌ 演奏解釈、聴き比べ (part1,2)第三回 バッハの宇宙と神のメッセージと綴ってきたこのシリーズ、最終回は 「バッハとイザイ」というテーマで書いて...